ホワイトリボンについて
ホワイトリボンは、女性の健康と権利の大切さを伝える、国際的なシンボルマークです。
ホワイトリボンは女性の健康と権利を伝える国際的なシンボルとして、1999年にアメリカで誕生しました。
当時、国際社会では2000年に採択されたミレニアム宣言を基に、共通の目標としてMDGs(ミレニアム開発目標)の策定が進められていました。中でも重要視された目標が「妊産婦の健康の改善」と「乳幼児死亡率の削減」です。開発途上国を中心に、1分に1人(今でも2分に1人)の女性が妊娠・出産で命を落としているという現実があり、対策が急がれていました。
この問題に立ち向かうには、各国や諸地域がそれぞれ取り組むのではなく、世界中が一体となって協力していく必要がありました。ホワイトリボンは、文化の違いや国境を越えて、女性の命を守るために人々が手を取り合う「連帯」のシンボルとして生まれたのです。
MDGsからSDGsへ、ともに歩むホワイトリボン。誰ひとり取り残さない世界を実現するために。
MDGsは2015年、一定の成果とともに期限を迎えました。そしてなお残る課題や、複雑さを増していく新たな社会課題に取り組むために、誰ひとり取り残さない世界を目指すSDGs(持続可能な開発目標)へと引き継がれていきます。
MDGsの視点は開発途上国が中心でしたが、SDGsではすべての国へ、あらゆる人々へと対象が広がっています。目標を実現していくための中心的な担い手も変わり、国家から市民社会へ、私たち一人ひとりがその主人公となりました。
SDGsという目標を得た今、ホワイトリボンには新しいミッションがあります。それは、すべての女性が生涯を通して健康でいられること。みずからの意思で自分らしい人生を選べること。健やかなだけでなく、幸せで、笑顔でいられることです。
この「ウェルビーイング」と呼ばれる状態を実現するキーワードは、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)です。特に、妊娠・出産の当事者である女性が自分で生き方を選ぶためには、性と健康への自己決定権が欠かせません。
しかし世界には、今でも性行為や避妊に関してコントロールできず、医療も受けられず、安全でない中絶・出産によって健康や命さえも脅かされる女性たちがいます。望まない妊娠や児童婚によって教育の機会を奪われ、自己実現の夢を失う少女たちもいます。
Healthy women, Healthy world.
すべての人は母である女性から生まれました。地球上に生きる79億人、その約半数は女性です。その中のひとりが幸せでなければ、誰もが無関係ではいられません。その女性は、誰かの母や子どもとして、パートナー、友人、同僚、コミュニティのメンバーとして、社会と分かちがたく結ばれているからです。
ひとりの女性が幸せなら、ともに生きる人も幸せでいられる。彼女が自由になれば、まわりの人も自由を得られる。ホワイトリボンは私たちにこのシンプルな事実を伝え、気づきを広げ、変化のために行動を始めるきっかけをもたらします。
私たち一人ひとりの力は小さくても、何かを始めてみることで、状況は少しずつ変わり始めます。たとえば、女性を取り巻く現実について知る。気づいたことをSNSでシェアする。同じ思いの誰かと出会い、一緒に声を上げていく。
ささやかな一歩を踏み出す時、ホワイトリボンがつながります。人々の願いが集まり、目の前の現実を変えていきます。ホワイトリボンは、私たち一人ひとりが変化を起こす当事者であることを伝える「気づきのリボン」でもあるのです。